選挙知識

一票の格差とは?わかりやすく意味や問題点・原因を説明!解決策や是正対策はあるの?

衆議院、参議院議員選挙の度に、「一票の格差」の問題が取り上げられます。

 

この「一票の格差」とは一体何が問題で、私たちにとって何か不利益が生じるのでしょうか?

 

こちらの記事では、衆議院議員選挙から「一票の格差」の問題点や原因、解決策について解説します。

「一票の格差とは?」意味や問題点をわかりやすく説明

地方と都市部とでは選挙区ごとに人口差が生じます。

 

したがって、人口が多い選挙区と過疎地で人口が少ない選挙区とでは議員1人に対する1票の重みが異なってきます

 

これが「一票の格差」です。

 

この「一票の格差」は次のように変化しています。

第41回衆議院議員総選挙(1996年)

  • 【2倍超区数】62選挙区
  • 【最多】神奈川県第14区(有権者数:446,970人)
  • 【最少】島根県第3区(有権者数:192,999人)
  • 【最大格差】2.316倍

 

第42回衆議院議員総選挙(2000年)

  • 【2倍超区数】87選挙区
  • 【最多】神奈川県第14区(有権者数:471,445人)
  • 【最少】島根県第3区(有権者数:191,241人)
  • 【最大格差】2.465倍

 

第43回衆議院議員総選挙(2003年)

  • 【2倍超区数】27選挙区
  • 【最多】千葉県第4区(有権者数:459,501人)
  • 【最少】徳島県第1区(有権者数:213,689人)
  • 【最大格差】2.150倍

 

第44回衆議院議員総選挙(2005年)

  • 【2倍超区数】33選挙区
  • 【最多】東京都第6区(有権者数:465,181人)
  • 【最少】徳島県第1区(有権者数:214,235人)
  • 【最大格差】2.171倍

 

第45回衆議院議員総選挙(2009年)

  • 【2倍超区数】45選挙区
  • 【最多】千葉県第4区(有権者数:487,837人)
  • 【最少】高知県第3区(有権者数:211,750人)
  • 【最大格差】2.304倍

 

第46回衆議院議員総選挙(2012年)

  • 【2倍超区数】72選挙区
  • 【最多】千葉県第4区(有権者数:495,212人)
  • 【最少】高知県第3区(有権者数:204,196人)
  • 【最大格差】2.425倍

 

第47回衆議院議員総選挙(2014年)

  • 【2倍超区数】13選挙区
  • 【最多】東京都第1区(有権者数:492,025人)
  • 【最少】宮城県第5区(有権者数:231,081人)
  • 【最大格差】2.129倍

 

第48回衆議院議員総選挙(2017年)

  • 【2倍超区数】0選挙区
  • 【最多】東京都第13区(有権者数:472,423人)
  • 【最少】鳥取県第1区(有権者数:238,771人)
  • 【最大格差】1.979倍

 

 

また、直近のデータをご紹介します。

2018年12月27日に総務省が発表した「平成30年9月登録日現在選挙人名簿及び在外選挙人名簿登録者数」によれば、衆議院小選挙区別登録者数は、最多が東京都第13区476,662人、最少が鳥取県第1区237,823人。登録者数の最大格差が2.004倍となり、2倍を超えた。

 

是正策により格差は小さくなっていますが、2倍未満になるのはなかなか難しいようです。

 

 

この「一票の格差」、何が問題なのでしょうか?

 

 

日本国憲法第14条では、以下のようにすべての国民に対し法の下の平等を保障しています。

 

すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

 

このように「一票の格差」がある状態は、憲法が保障する法の下の平等を侵害し、憲法違反にあたるのではないかと問題視されているんです。

 

 

直近のデータを引用すると、選挙人名簿登録者数が最多の東京都第13区と最少の鳥取県第1区との「一票の格差」が2.004倍。

 

 

平たくいえば、鳥取県第1区の有権者が投じる一票は、東京都第13区の有権者が投じる一票より2.004倍の重みがあることに。

 

逆にいえば、東京都第13区の有権者の一票は鳥取県第1区の有権者の一票より2.004倍価値が小さいということになり、これは不平等にあたるというものです。

 

「一票の格差」が生じる原因は?解決策・是正対策はあるの?

この「一票の格差」が生じる原因のひとつは、当然ながら選挙区ごとの人口の差異にあります。

 

都市部では人口流入、過疎部では歯止めのかからない人口流出が格差拡大に輪をかけている状況です。

 

しかし原因はそれだけではありません。

 

衆議院においては、1994年の公職選挙法改正で小選挙区制が導入。

 

単純に人口に比例して議席を配分するのではなく、「一人別枠方式」で各都道府県にまず1議席ずつ別枠で割り当てた上で、残り議席を「最大剰余式」で各都道府県の人口に比例して割り当てられることに。

 

1996年に初めて小選挙区制による選挙が実施。

 

その後行われた裁判の判決で、「一人別枠方式」が「一票の格差」を生む要因であると指摘されます。

 

そこで格差解消のため、2002年8月に公職選挙法が改正され、5道県から1議席ずつ減らす「5増5減」の措置が取られます。

 

しかし、過疎地域から都市部への人口流出に歯止めがかからず、格差解消に至りません。

 

 

2011年3月に最高裁は、2009年8月の衆院選をめぐる裁判の判決の中で、「一人別枠方式」及びこれにより生じた「一票の格差」を次のように違憲状態であると指摘

 

「各都道府県に1議席を配分した上で残りを人口比で割り振る「1人別枠方式」と、同方式で生じた格差について「違憲状態」と判断し、同方式を廃止するよう求めた。選挙無効の請求は退けた。」

 

 

判決要旨を抜粋してご紹介します。

 

1人別枠方式は人口の少ない県に居住する国民の意思を十分に国政に反映させることを目的としている。

しかし衆院議員は、どこの地域の選出かを問わず、全国民を代表して国政に関与することが要請されている。

人口の少ない地域に対する配慮は全国的な視野から法律の制定などで考慮されるべきで、地域性のために投票価値の不平等を生じさせるだけの合理性があるとはいいがたい。

09年選挙時に同方式が格差を生じさせる主要な要因となっていたのは明らかだ。

 

 

これを受けて、2012年11月に衆議院議員選挙区画定審議会設置法改正により「一人別枠方式」にかかる規定が削除。

 

同時に公職選挙法の改正により、小選挙区を5県で3→2に減らす「0増5減」とするなど区割り廃止・変更の措置が取られました。

 

これにより、衆議院の小選挙区は300→295に。

 

このように法律上「一人別枠方式」にかかる条文は削除されたものの、定数そのものは既存の定数配分を基に5県で削減したものであり、依然として「一人別枠方式」が残っているといえます。

 

さらに「一票の格差」を是正するため、2017年5月には公職選挙法改正で小選挙区を6県でそれぞれ1名ずつ減らす「0増6減」とするなどの区割り廃止・変更が決定。

 

 

そして同年に行われた衆院選では、最大格差が1.979倍とついに2倍を割る結果に。

 

今後は、2020年に行われる国勢調査の結果を基に、「アダムス方式」という人口に応じて都道府県の小選挙区の数を決定する配分方法の導入が予定されています。

 

 

このアダムス方式により次のように議席が割り当てられます。

 

都道府県の人口をある定数で割って得られた商の小数点以下を切り上げ、1議席を加えたものをその自治体の議席数とする

 

 

小数点以下を切り上げるため、人口の少ない都道府県の定数が「0」にならないことに加え、最大格差が小さい、というメリットもあるようです。

 

「一票の格差」の是正を求める裁判を起こしている弁護士グループも、このアダムス方式の導入に期待をしているようです。

 

今後、過疎地と都心部での格差がどうなるのか、要注目ですね。

 

まとめ

今回は、国政選挙ごとに問題となる「一票の格差」について解説しました。

 

同じ一票でも地域によってその価値が2倍以上も違うとなると、価値が小さくなる都心部の有権者が不平等だと感じるのは当然だなと思います。

 

ただ選挙区の区割りが変わると、有権者は混乱しますよね。

 

今後、なるべく有権者が困らない形で格差が是正されるよう期待したいものです。

▼第25回参議院議員選挙|全国選挙区別開票結果一覧▼

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