選挙知識

小選挙区比例代表並立制とは?わかりやすくメリットや問題点など違いを説明

現在、衆議院議員総選挙で行われている「小選挙区比例代表並立制」。

 

小選挙区の選挙で落選した候補者が、比例代表選挙で復活当選できるため、否定的な声も少なくありません。

 

こちらでは、この「小選挙区比例代表並立制」についてわかりやすく解説してまいります。

「小選挙区比例代表並立制」ってどんな制度?

日本の衆院選で採用されている「小選挙区比例代表並立制」。

 

これは、「小選挙区選挙」と「比例代表選挙」を同時に行う制度です。

 

まず「小選挙区比例代表並立制」の成り立ちからご紹介します。

 

日本では、1928年の衆院選から1993年の衆院選までは1つの選挙区から複数人当選できる中選挙区制が導入されていました。

 

同じ選挙区に同じ政党の候補者が複数出馬する選挙となるため、政策論争より派閥による金権選挙(きんけんせいじ)が横行します。

 

1988年には第二次世界大戦後最大の贈収賄事件といわれるリクルート事件が発生。

 

これを契機に政治改革の動きが活発になり、当時自民党に所属し、後に新生党を立ち上げた小沢一郎氏は小選挙区制に変えるべきであると強く主張します。

 

さらに、大政党への支持に偏り自民党による一党優位政党制が続いていたため、政権交代可能な二大政党制への転換を目的に、当時の細川政権下の1994年に公職選挙法が改正。

 

橋本政権下で行われた1996年の衆議院総選挙から、小選挙区選挙と比例代表選挙の両方を並行して行う「小選挙区比例代表並立制」が導入されます。

 

 

当時は、総定数500(小選挙区300、比例代表200)でした。

 

その後、定数は削減され、現在は総定数465(小選挙区289、比例代表176)となっています。

 

「小選挙区制度」と「比例代表制度」の違いとは?

こちらでは、「小選挙区制度」と「比例代表制度」について解説します。

 

まず「小選挙区制度」とは、1つの選挙区で1名の議員を選出するという極めてシンプルな制度です。

 

有権者は投票用紙に「候補者名」を書いて投票。

 

法定得票数(有効投票総数の1/6)を超えた候補者の中から最高得票の人が選出されます。

 

一方、「比例代表制度」とは、選挙で各政党の得票数に比例して議席を割り当てる制度です。

 

衆議院の比例代表選挙では必ず「政党名」を書いてくださいね。

 

候補者名を記載すると無効になってしまうので、気をつけましょう。

 

比例代表制度って、ちょっとわかりにくい制度ですよね?

ここから詳しくご紹介しますね。

 

衆議院の比例代表制度は全国を11ブロックに分け、176人の議員が選出されます。

 

その内訳は次のようになっています。

  • 比例北海道ブロック(北海道)・・・8人
  • 比例東北ブロック(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県)・・・13人
  • 比例北関東ブロック(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県)・・・19人
  • 比例南関東ブロック(千葉県、神奈川県、山梨県)・・・22人
  • 比例東京ブロック(東京都)・・・17人
  • 比例北陸信越ブロック(新潟県、富山県、石川県、福井県、長野県)・・・11人
  • 比例東海ブロック(岐阜県、静岡県、愛知県、三重県)・・・21人
  • 比例近畿ブロック(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)・・・28人
  • 比例中国ブロック(鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県)・・・11
  • 比例四国ブロック(徳島県、香川県、愛媛県、高知県)・・・6人
  • 比例九州ブロック(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県)・・・20人

 

 

議席の割り当ては「ドント方式」が採用されています。

 

まず、ブロックごとの各政党の得票を1、2、3、4…という整数で割っていき、その商(割って得た値)が大きい政党から順に議席を割り当てる方式です。

 

 

また、衆議院選挙の比例代表制では「拘束名簿式」が採用されています。

 

これは、政党があらかじめ当選の順位を決めた候補者名簿を届け出る方式です。

 

政党が獲得した議席数に比例して名簿に登録された上位から順に当選します。

 

比例代表の各ブロックで政党ごとの名簿を見ると、同じ順位に複数の候補者の名前が並んでいるのをご存知でしょうか?

 

これは、小選挙区との重複立候補者を同じ当選順位にすることが認められているためです。

 

小選挙区で当選した立候補者は、当然、この名簿から除外されます。

 

小選挙区での当選がかなわなかった重複立候補者は、小選挙区での当選人の得票数に対する得票率(惜敗率)により当選順位が決められることになります。

 

この比例復活制度にもさまざまな問題点があります。

 

1996年の衆院選において、10人の候補者が小選挙区で法定得票数未満の得票でありながら復活当選。

 

うち2人の得票は供託金没収点(有効投票総数の1/10)未満だったことから物議に。

 

さらに2000年2月には、供託金没収点未満の得票だった落選者が比例代表で繰り上げ当選。

 

そのため、同年に行われた衆院選以降、小選挙区で供託金没収点未満の得票の候補者の比例復活当選は認められなくなり、比例代表の名簿から除外されるようになりました。

 

「小選挙区比例代表並立制」のメリット・デメリットは?

現在衆院選で行われている「小選挙区比例代表並立制」。

 

この制度にはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

 

小選挙区制のメリットとしては、以前行われていた中選挙区制に比べて選挙区が狭いので、選挙の費用が抑えられます。

 

また、有権者により身近できめ細やかな活動が可能です。

 

さらに、与党に不満があれば有権者は最大野党の候補者に投票するので、政権交代を起こしやすい点もメリットといえるでしょう。

 

2009年の総選挙で民主党に政権交代し、2012年の総選挙で自民党・公明党の連立与党が政権奪還したのがいい例ですよね。

 

野党が強いとこのように政権交代が起こりやすくなります。

 

しかし、野党が弱いと、選挙区で1人しか当選しないので与党の候補者が当選しやすくなる傾向にあり政権が安定します。

 

まさに現在がその状況にあるといっていいでしょう。

 

一方、デメリットとしては、先述のとおり選挙区で1人しか当選しないので、落選者に投じられた「死票」が多くなります。

 

したがって少数意見が国政に反映しにくい制度といえます。

 

このデメリットを補完するために政党に投票する「比例代表制度」との並行制が採られているわけです。

 

しかし、この「比例代表制度」は候補者個人へ投票できないので、政党に投票しても意中の候補者が当選するとは限りません。

 

また、比例復活を許さず圧勝した小選挙区と比例復活当選議員が複数存在する小選挙区とでは、議員1人あたりの人口に格差が生じてしまいます。

 

さらに「小選挙区比例代表並立制」のメリットとして、小選挙区選挙で支持政党の候補者が気に入らなければ小選挙区では他の候補者を投票し、比例代表選挙で支持政党を投票することも可能です。

 

まとめ

今回は、衆議院選挙の「小選挙区比例代表並立制」について解説しました。

 

制度としていろいろとわからない点もあるかと思いますが、この記事で少しでも疑問が解消できましたら幸いです。

 

小選挙区選挙では「候補者名」、比例代表選挙では「政党名」を必ず記載してくださいね!